JISで定められた段ボール箱の形式(JIS Z 1507)では0201というタイプになるもので、
A式とも呼ばれ、ダンボール箱の代名詞のようになっている形をみかん箱タイプと呼んでいます。
出回っている段ボールの中では圧倒的にこの形が多いです。
ワンピースの構造で糊代がありフラップがあるJISの種類分けでは02:溝切り形になるこの形は、
全てのフラップが同じ長さで外フラップを閉じると丁度突合わされる長さのものという定義になります。
みかん箱タイプとは比較的古い俗称で、業界内ではA式という呼び名が最も多く使われ、たまにJISにならって0201形と呼ばれる程度です。
弊社ではインターネット普及初期の段階で、あまり包装に携わらない一般の方でもイメージしやすいように、あえて「みかん箱タイプ」と
ホームページ上に記載・説明し、現在に至っています。
そのため社内では「A式」と呼んでいます。
ご近所の段ボール屋さんに相談に行かれる時は「A式」と言った方が間違いがありません。
名前そのものは、その名の通り「みかん」の梱包用に良く使われ、それはそのまま一般家庭に入ってくることが多く、
みかんが入っている箱の形と認識しやすいことから、業界の人が一般の人に説明するのに使われてきました。
実際のみかんの梱包では、片方のフラップを全て無くしそれを底用として、それを被せるように、やはり全ての片方のフラップを無くしたフタ用を作り
被せ合わせて使われるタイプの形も多いようです。
この形は、フタソコそれぞれを「半A式」と呼び、「半A式でフタと底を作る」と表現しています。
A式の半分のふたが無いパターンということです。
正式にはJISで0320という形式になりますので、みかん箱タイプではないとされるのですが。
みかん箱タイプと同じように考えるなら、バナナの箱としてよく使われているので、バナナ箱タイプ・・・となるのでしょうか。
ところで、みかん箱タイプの形が圧倒的に使われているのは、やはり低コストで小ロットから大ロットまで簡単に供給できるからです。
例えば上下差込式と比べると、みかん箱タイプは殆ど捨てる紙が無く作れることがわかります。
また材料コストだけでなく、製造コストもとても安価になるのが、みかん箱タイプです。
段ボール生産工場の設備の殆どは、このみかん箱タイプの製造が出来る設備をそろえており、他の形式はその派生形のような作られ方、設備の使い方で補っているのが現状なのです。
みかん箱タイプの形への加工パターンはとても単純なこともあり、設備も作りやすく、また作業も他形式に比べれば楽な方です。
板状の段ボールを必要な大きさに切る時に、一緒に上下のフラップを折り込む罫線を同時に入れてしまうのが一般的です。
そうすることでダンボール板の流れ方向の作業はそこで終わらせることが出来ます。
次に出来上がった時に長さと巾に当る部分に罫線を入れるのですが、一般的な機械ではその時同時にフラップを形成させるための切り込みも入れてしまいます。
ここまでくればあとは糊代に糊を付けて、反対側の面と接着させれば、みかん箱タイプの形に出来上がりです。
段ボールの加工で使われる糊は、直ぐには固まらず時間をかけて深く染み込みながら固まります。
そのため糊代を接着した後、しっかりと位置を固定させておく必要があるのですが、みかん箱タイプではフラップの長さが均一なため、
糊が固まる前に畳んだ状態の上下方向から押すことでその位置を揃えることが出来、
結束紐で結束してしまえば、糊の固まる時間を稼げるのです。
みかん箱タイプを生産する設備は、殆ど全ての工程で、それぞれの寸法を都度変更しながら作られます。 抜型などが必要ないのです。(極端に小さいものや段違い罫線などの場合は別です)
そのため極小ロットであってもその寸法調整が容易であるため、少量の場合はこの形式で作られることが多いです。
みかん箱タイプの形の欠点は
まず封をするのにテープや鋲などダンボール以外の複資材が必要になることと、その作業が必要になることです。
また内フラップが付き合わせでないため、底面と天面にできる内フラップが届かない面は内フラップがある位置より高さ寸法が増してしまい
凹凸が出来る点です。
昔は何でもかんでも「みかん箱タイプ」で作り、この凹凸を回避するために別途パット(埋め板)などを用意し使っていたのですが、
最近は抜型を使った加工の生産技術が向上したこともあり、そのような特殊な要望があるものは抜型を使った加工になることが多いです。
別途用意するパットのコストや、みかん箱タイプを組み立ててパットを入れて・・といった作業の煩雑さを無くすためです。
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