上差込下組式とは

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上差込下組式(うえさしこみしたくみしき)



JISで定められた段ボール箱の形式(JIS Z 1507)では0215というタイプになるもので、
文字通り、箱の上側のフラップは差込んで封をする形式で、下側のフラップ(底側)は4つのフラップを組み上げて底を作るタイプの形式。

上差込下組式
上差込下組式では底側もフタ側もテープや接着剤などを使わなくても、組み立てることで封が出来ます。

底側は最後のフラップを差し込む際に底面全体を箱内側に凹ませて差し込みます。

そのため内容物が入っている状態では内側に凹ませることができず開けないため、品物でロックがかかった状態になります。

上側は世間に広く認識されている差込式なため、簡単に開け閉めが出来ます。


上差込下組式の差し込みフタの部分は底面のようにロックをかけたい場合、小さい差込式のベロを付けて、
差し込まれたフタを固定するロック機構を付けて使われることが多いです。

上下差込式(0210タイプ)と比べられることが多いですが、
底面の方向が固定であれば、上差込下組式の方が使われる材料の大きさが小さくてすむことが多く、
コストや使い勝手を考え上差込下組式が使われることが多いです。


そもそもB式と呼ばれる形状が、抜きの技術の向上と共に上下差込式に変わってきて、
さらにコストや底面の組み立て方法が一般的になったのを受けて上差込下組式が一般的になってきました。


箱としてとても使いやすい上差込下組式ですが、弱点は初期投資コストです。
みかん箱タイプオーバーフラップなどと異なり、フラップの長さが均一でなく、またフラップの形状もその場所によって変わってしまう
上差込下組式は、基本的に抜型による打ち抜き加工が前提となるからです。


ただし段ボールの抜型は他の化成品などのものに比べて金額が安いものですので、
ある程度1回あたりの生産枚数が多いロットであれば、梱包に要するテープなどの費用や人件費を考えれば
この上差込下組式にするための初期投資コストはすぐに回収できてしまう範囲です。


近年、小ロット用のカッティング機が普及してきたことにより、数枚から数十枚の極小ロットは抜型を使わない生産に変わってきているため
上記の上差込下組式に対するコストの問題も若干解消されてきてはいますが、その場合、1個あたりの単価はそこそこの金額になりますので、
やはりみかん箱タイプなどの形状に比べればコスト高になります。


またコストという見方で見れば、
上差込下組式ではフラップの長さが1箇所だけ長い形になりますので、箱を広げた時の材料の面積が、
同じ寸法でみかん箱タイプを作る時に必要な面積よりも大きくなり、そもそものコストは差込を作る時点で高くなってしまいます。