上下差込式とは

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上下差込式(じょうげさしこみしき)



JISで定められた段ボール箱の形式(JIS Z 1507)では0210というタイプになるもので、
文字通り、箱の上側のフラップも下側のフラップも差込んで封をする形式を上下差込式と呼んでいます。

キャラメル箱形式とも呼ばれることがあります。


上下差込式は主に個装箱に多く使われますが、特にサイズが比較的小さいものに多く使われます

上下差込式
上下差込式は箱を広げた状態では上側のフタと下側のフタが長いほど、使えない紙の面積が増えてしまうという欠点があります。

そのためサイズが少しでも大きいとコストの問題から似た形状の上差込下組式で作られることが多く、
比較的小さいサイズのものの場合に、上下差込式で使われることが多いのです。


サイズが小さいと紙のコストよりも加工コストの占める比率が増えてしまうため、使えない紙の面積の問題が少なくなるためです。


また上下差込式ではフタを開けやすいように指穴の加工をすることも多いです。


さて上下差込式はJISでも0210という02番台の溝きり形ですので、0201のみかん箱タイプ(A式)と同じシリーズです。
糊代があり、胴部分は筒状に貼り合わされているためです。


みかん箱タイプでは常に長さは巾よりも大きくなり、長さのフラップ部分で封をします。

しかしこの上下差込式では長さの短い辺、すなわち巾の分を蓋にして差し込むことが出来ます。

フタの開き方向に制約がある場合などにこの上下差込式は好都合です。

ただしその場合、上の方で書きましたが、使えない紙部分がとても大きくなってしまうので要注意です。


上下差込式は、このような外フラップの長さの自由度とあわせて、内フラップにもとても自由度があります。

広げた状態では内フラップの上の部分は本来使わずに捨ててしまう部分になりますので、その余白を使って内フラップを長くして
内フラップが丁度付き合わさる位置まで伸ばし、内容物に対して平らに支えるようにすることも出来るのです。


上下差込式は、上差込下組式の底部分のように組み立てる順番などで悩む必要なく、極々一般の方でも、サッとフタを出来ますし、
開けることも何の工夫も要らずに出来る形ですので、その点はとてもユーザーに優しい形です。

その点であえて上差込下組式ではなく上下差込式をリクエストされるお客様が多いです。


また上下差込式のフラップは差込式ですので封をするのは簡単ですが、逆に抜けてしまう可能性があるため、
フタ部分はフタロックの細工をすることが多いです。


上下差込式は、基本的に抜型を事前に作成して作ります。

極小ロットで極小ロット用のカット機を使って製作する場合以外は、抜型が必要になります。


抜型を作る時点で、変形させるにはどうにでもできますので、特に上下差込式の場合は
罫線の位置を段違いにすることが多いです。

段ボールは厚みがあるため内フラップの上にと外フラップが重なると、厳密にはその厚みの分だけ外フラップが湾曲して出っ張ります。

それを避けるため外フラップが内フラップの厚み分、上の位置から折れるのがもっとも好ましいからです。

内フラップの位置は内寸法から算出された位置から折れるようにし、
外フラップの罫線位置は使われるフルートの厚みに合わせて、
内フラップの罫線よりその分、ずらした位置に入れ、そこから折り込まれる事で、上下差込式では特に箱にした時に綺麗に仕上がります。