ダンボール表面に印刷をするために用いる凸版のハンコ。
従来は手彫りのゴム版と呼ばれる印版が主流でしたが、現在は樹脂版と呼ばれる印版が主流です。
印版フィルムに貼り付けられた状態で使われるため、フィルムに貼られた状態を印版と呼びますが、貼られていない状態のものも印版と呼んでいます。
どちらの印版も透明な大きなビニール製の印版フィルムに貼り付けて相対位置を決めます。
右側の写真が印版フィルムに貼り付けられたものです。
通常このフィルムにはボンドで貼り付けるため、上下左右に印刷内容を移動させることは出来ません。
そして印刷機のドラム状の輪転機に取り付けて、高速で回転させて印刷をするためこの接着はきちんとしておく必要があります。
印版フィルムの上下にはプラスチックで出来た巾1cm程度、厚み3mm前後のバーが付いています。
これを印刷機の輪転機部分にある溝にはめて固定して使います。
ここからは各工場の運用形態によって異なりますが、一般的なところでは、
フィルムの巾が丁度1mになる位置に溝が彫ってあり、それにあわせて印版フィルムの巾は1mで統一されていたりします。
ちなみに弊社の工場では50cmから1mの間で複数の溝が彫ってあり、色々な印版フィルムに対応できるように工夫されています。
ところで印版は印刷機の輪転機に取り付けて印刷するため、その伸び率も計算して作られています。
そのため印版を普通のハンコのように上から板を載せてインキを転写すると、上下方向が縮んだ印刷内容になってしまいます。
さて気になる印版の金額は、例えば樹脂版であれば使う樹脂の面積、ゴム版であれば使うゴムの面積によって殆ど決まります。
フィルムやプラスチックバーのコストはとても安いので、箱の大きさ字の大きさよりも、
実際に印刷する内容の面積によってある程度決まってしまうのです。
そのためダンボール印刷で使う印版は必要な部分しか作りません。(空白の部分は作らないのです)
例えば10cm四方の大きさで「印」と一文字だけ印刷する方が、高さ5cm長さ10cmで書かれた「印版」という二文字よりも高くなります。
そして同じ10cm四方の大きさの中に10文字くらい細かい字を詰め込んでも、印版の代金は同じになります。
よく文字数やロゴの複雑さなどで印版の値段が高くなるのではと思われますが、印版の値段は単純にその大きさだけなのです。
ところで、昔は印刷機の回転速度も遅く、印刷精度もさほど要求されなかったため、
印版の数箇所の印刷内容を作業員が差し替えて(両面テープなどで印版を剥がしてつける)印刷内容を変更したりしていた時代もありました。
しかし現在では印刷精度の問題と、印刷品質問題への危険性、そして両面テープ程度では危険な回転数になることもあり、
少なくても弊社では印版の部分差し替えはしておりません。
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