ゴム版とは

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ゴム版(ごむはん)



段ボール印刷用の印版の種類で、ゴムの一枚の板に印刷内容を彫り、それを印版専用のフィルムに貼り、印刷機にセットして使います。


昭和の時代はこのタイプの印版が安価で主流でした。


左の写真がゴム版と呼ばれる印版の写真です。

ゴム版は材料が安価なため安かったのですが、版へのインキのノリが悪いため、印刷するとインク擦れが出易く、
またゴムの板を職人が彫刻等のようなもので削って作る印版だったため、最終的にそのゴム版の手彫り職人が居なくなり、
最近では殆ど目にしなくなりました。


当時の職人さんのその作業は、言葉どおりの職人芸で、それはそれは見事にゴムを切り刻んでいました。ゴムとボンドの匂いが懐かしいです。


写真を見ると、ゴム版の印刷しない部分が、いかにも彫刻刀で彫っていそうな切り口です。

ちょっと汚いですが、今や社内でも珍しい手彫りのゴム版ですので仕方ないところです。

これはゴム版のアップ写真ですが、このゴム版を大きなフィルムに貼った形で使います。


管理の面から見ると、長年使っているとゴムが硬くなって来たりしますが、樹脂版ほど経年劣化の問題が少なく、とても耐久力があります。


今でこそありませんが、さほど印刷精度が厳しくない時代の話ですが、
何十年と同じゴム版を使っていると流石にゴムが硬くなり、そして反ってきます。

この反ってしまったゴム版の角が、輪転機にセットしても反ったままになってしまい、そこにインクが転写されてしまい、
関係のないところに、変な線とかが入ってしまうという現象によく悩まされました。

今では印刷精度の問題で、このようになったゴム版はすぐに作り直しですのでご安心ください。