段ボールの大敵1:反り

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おもしろ話7.段ボールの大敵1:反り
段ボールは紙で出来ている上、中空構造であるという、ある意味かなり特殊な素材であるため、
それなりの利点は沢山あるのですが、反面、欠点もあります。

特に弊社の工場内で一番の大敵は「反り」です。

段ボールシートはご存知のとおり、ナミナミした模様の部分(中芯と呼びます)を表の紙と裏の紙(ライナーと呼びます)が挟んでいる形をしているのですが、その表と裏のライナーの乾燥具合?湿気具合?によって紙が反り返ってしまう現象を「反り」と呼んでいます。

みかん箱タイプなどの箱にしてしまえば、グルっと丸めて接合されていますので、ちょっとやそっとじゃ反りは出ないのですが、
特に作る前の材料の段階で反りが多く発生してしまいます。

ひどい反りになると、元の平らな状態に引っ張ると折れ目がついてしまうような状態になったりもします。

反りはわかるけど、どうして工場で大敵と呼ぶほどの問題なのかと思うかもしれませんが、加工する機械では反りは構造上致命的になることが多いのです。
薄いボール紙などで出来た紙器箱などの加工機械では、機械の中を紙を通す際、紙を一枚一枚「引っ張って」移動させる仕組みになっています。
柔らかい紙という材料を移動させるには、どうしてもその方法になるようです。
それに対して段ボールを加工する機械では、「押し出して」移動させる仕組みなのです。
ボール紙に対して段ボールは「板」ですので、引っ張るよりも押し出す方が適しているのです。

くわえて引っ張って送る分には反りがあってもとりあえず機械の中に入れることが出来ますが、
押し出すということは、シートの後ろから押し出しますので、シートの前の方は1枚だけ通すためのゲートで仕切っているだけの状態になり、
そのゲートに反ったシートは引っかかってしまうというところが大問題なのです。
仮に引っ張って機械の中に入れても、反っていては色々と問題が出るかもしれませんが、なにぶん機械の中に入れる前に引っかかってしまいますので、
どうにもこうにも作業がはかどらないのです。

ダンボールの厚みは3mm~8mmです。
しかし反ったシートはその厚みどころではない寸法で反り返りますので、当然、本来の厚みしか通さないゲートでは引っかかります。
機械は専用のものですので、当然、反りがあるものを通す前提で作られますので、エアーで反ったシートをゲート下部に引っ張って平らな状態にしてから
ゲートを通す仕組みにしていたりと工夫はされているのですが、よじれて反ったり、激しく反ったものは、エアーの力よりも反発力が強く、
ひっかかる大問題になるのです。

このように、工場内でもやっかいな大問題とされている反りですが、シートが一枚の状態になると圧倒的に反りの発生率があがります。
工場内ではシートの保管は少なくても数十枚から束にして保管していますし、それなりの反りの対策もしているのですが、
購入されたお客様側でも反りの問題は発生してしまいます。
箱ではなくパット、しかもやや大きめのサイズで少量ご購入のお客様からよく、反りの対処法などもお問い合わせいただきます。

反りの対策としては、
・保管する時は斜めに立てかけたりせずに、どうしても立てかける場合は、上から下まで曲がりたくても曲がらないように何か硬い板で抑えておく。
・湿気が出たり、乾燥したりが繰り返されるようなところに置かない。
・シートを表と裏で時々互い違いに裏返して保管する。
とありますが、
まぁ、それぞれ現実的に難しいかもしれません。
実際に、弊社のように毎日扱うところでも、その反りの対策に四苦八苦している状態ですので。

反りが発生しない段ボールというのが発明されたり、それを抑えたり修正できる何か発明があれば、世界的に大ヒットになるのですけど・・・。

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